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薬学のすすめ

「薬学」で何がわかるの?

第1回 私の「薬学のすすめ」

受験生のみなさんは、どこの大学にいこうか、あるいはどの学部を目指そうかと考えるとき、何を重視しますか?卒業生は社会でどのように活躍しているか、あるいは薬学部の場合だと国家試験に受かることができるかなど、大いに気になるところかと思います。一方で、卒業後社会人として生きていく上で、大学での勉強がどんなふうに役立つか、そんなこともきっと考えることと思います。

薬学部の場合、薬剤師という資格の占めるウェイトが高いために、「薬学とは?」という疑問に対する答えが広く知られていないように思います。例えば、理工学部や農学部といったバイオ関連の他学部の場合、そこを志願する受験生のもつ学部のイメージというのは、実際と比べてそれほど大きなズレはないように思います。一方で、薬学部の場合は「薬剤師に必要な知識を学ぶ」という答えが多いでしょうが、実際のところその中身に関して具体的なイメージをもつ人は少ないのではないでしょうか。

これから数回にわたって、私の「薬学のすすめ」というテーマで記事を投稿します。第1回目はどんな人が書いているかを自己紹介いたします。私がどんな研究をしているのか、あるいは私の詳しいプロフィールに関しては、免疫生物学研究室のホームページをご覧ください。

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私は高校時代の化学実験がきっかけで、有機化学とは面白いものだと思って、薬学部を目指しました。当時から生命や医学にも関心はあったのですが、ヒトの身体にどうも抵抗があったことも一つの理由かもしれません。そのため、化合物を創るという点から、理工系の学部も進路の候補として考えていました。

そういう経緯でしたので当初は有機化学に関心を持っていたのですが、私が大学に入学した頃はまさに分子生物学が爆発的に発展しつつある時期で、たちまち遺伝子組換えや細胞工学といったテクノロジーに魅了され、化学系から生物系へと宗旨替えをしたわけです。

その後、衛生化学の研究室に所属し、実際に遺伝子組換えや細胞培養を体験しました。研究室では「文献紹介」といって、最新の研究論文を教員や大学院生が解説するのですが、毎週のようにワクワクするような論文が発表されていたことを覚えています。

その後、所属研究室で助手になり、自分が舵取りをするチーム(大学院生や学生で構成されます)で未解決の問題に取り組むという日々が続きました。理系学部のいいところは、すごい仕事でもそうでなくても相手は世界ということです。英語で思い通りにコミュニケーションをすることは大変ですが、世界の知識が増える過程に少しでも貢献していると思えば(思いこみかもしれませんが)楽しいものです。

というわけで、私はこれまで基礎研究に取り組んできたのですが、研究の話題とは別に「薬学」を学んで良かったなあと思えることがたくさんあります。そこで、この機会にそれを受験生のみなさんに紹介したいと考えています。「研究者」としての意見ではなく、むしろ大学で学ぶこととして「薬学」のどこが楽しいのか、あるいはどこが役に立つのかをお話しするつもりです。

2008.03.17田中智之

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