広い意味で「口から入る」ものを「食品」と言います。実際に口から入るものにはいろいろなものがありますね。食べ物もそうですし、毎日ではありませんが、薬もそうです。最近では、その間にあるような扱いの健康食品もたくさんあります。そして、みなさんは意識することはありませんが、たくさんの微生物(バクテリア)も食品を通じて身体の中へと取り込まれます。また、食べ物は私たちが活動するためのエネルギー源であるだけでなく、私たちの身体を形作るための部品としても利用されています。
「身体にいい食べ物」、「身体によくない食べ物」というのは、どんな理由があってそう考えられているのでしょうか?あるいは、誰にとっても、いつ摂ろうと「良い」食べ物というものがあるのでしょうか。「同じものばかり食べると身体に良くない」と言いますが、どうしてでしょうか。みなさんはこうした疑問を感じたことはないでしょうか?
生きていく上で「何を食べるか」というのは、「どう生きるか」と同じくらい大事かもしれません。薬学は化学物質と身体の相互作用を考える学問です。即ち、広い意味で「化学物質」である食べ物や薬が身体の中に入って、どのように吸収され、分解され、利用されるのか、そしてその結果何が起こるのかということを学ぶわけです。
いわゆる未開地域の原住民は、誰もがすぐれた栄養士であり薬剤師であるということはよく知られています。自分のお腹がすいたときに、何を食べれば良いのか、何を食べてはいけないのか、あるいは身体の調子が悪いときに何を食べればよいのか、こうしたことに関しては全員が詳細な知識を持っています。彼らの知識は自分の住む地域に限られたものですが、人が生きていく上で必須の知識が「何を口に入れるか」であるということは、私たちももう一度思い起こすべきでしょう。
2008.04.01田中智之
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