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薬学のすすめ

薬を使う前に

第3回 睡眠物質を増やして快眠リズム

私たちは、夜暗くなると眠くなり、朝明るくなると目が覚めますが、どうしてでしょうか。

それは地球上のすべての生物は、地球の自転で生じる昼夜(明暗)サイクルに歩調を合わせ、1日約24時間周期で変動する生命活動のリズム(概日リズムという)の中で生きているからです。人の睡眠・覚醒リズムを調節している所(体内時計という)は、脳の深部の視床下部(くわしくは視交叉上核)という小さな部分にあります。眼から入った光の信号は視神経を通って視交叉上核へ伝えられ、そこから松果体と呼ばれる所へ命令を下します。

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松果体はメラトニンというホルモン(睡眠物質)を作り、分泌します。メラトニンは夜に(暗く)なると大量に分泌され、朝明るい光を感じるとその分泌がストップし、昼間にはほとんど分泌されません。メラトニンは、睡眠を誘うことによって疲労回復、記憶の整理、肌の新陳代謝、老化防止、肥満防止、免疫系の活性化といった重要な働きをしています。一方、朝日を浴びてメラトニン分泌が減少すると、スッキリと目覚め、体温が上がって体が活動モードに切り替わります。

メラトニンはセロトニンから作られます。1,2話で述べたように、セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから作られ、またトリプトファンを脳内に送り込むためにはブドウ糖が必要でしたね。脳内のセロトニンそのものも精神状態を落ち着かせ睡眠を誘います。それゆえ、夕食にトリプトファンに富んだタンパク質(牛乳、卵、魚、肉、大豆製品)と炭水化物(ブドウ糖)を取ることによって、脳内にセロトニンとメラトニンが増え、自然で穏やかな睡眠が得られ、心地よい朝の目覚めが約束されます。

2008.05.13國友勝

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