皆さん、リアップという商品名で販売されている発毛促進薬(いわゆる毛生え薬)をご存知でしょうか?一般名をミノキシジルと呼びますが、この頭皮への塗り薬は、もともとはアメリカにおいて血圧を下げる飲み薬として使われていたものです。このお薬の効き目はアデノシン3リン酸により調節されるカリウムチャンネルを開くことで血管を拡張させることにより現れます。ところが、血圧を下げるために服用した患者さんの多くに多毛症の副作用が出たという実用後の経験的事実に基づいて、今度は発毛促進効果を示す塗り薬として開発されたものなのです。
同様に、当初の目的とは違う使われ方をしているお薬として、飲む発毛促進薬プロペシア(商品名)があります。このお薬は一般名をフィナステリドと呼び、男性ホルモンであるテストステロンがジヒドロテストステロンという物質に形を変えるのを食い止めることで、効き目を現します。すなわち、テストステロンがジヒドロテストステロンに形を変えるための酵素である5アルファ還元酵素の働きを弱めるのです。このお薬は、尿が出にくくなる前立腺肥大症を治療するお薬として使われておりましたが、やはり患者さんに発毛効果が認められたために飲む発毛促進薬として、新天地が切り開かれたのです。ただし、このお薬が使えるのは男性に限られます。
2008.04.24中村一基
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