高校生のみなさん、後発医薬品というものをご存知ですか。医療用として処方される薬には、開発メーカーが販売する先発医薬品と、特許がきれて開発メーカー以外のメーカーが製造販売する後発医薬品(ジェネリック医薬品)の2つの種類があります。平成20年4月から処方せんの様式が変わり、処方した医師の署名がない場合は、薬局で後発医薬品に変更することができるようになりました。先発医薬品に比べて後発医薬品を選ぶとお薬代は安くなります。後発医薬品を使用促進すれば、患者さん個人の医療費の負担を軽くし、国の医療費抑制につながります。
うちの薬局でも、4月から後発医薬品の在庫をそろえ、後発医薬品調剤体制を徐々に整え、患者さんの負担が軽くなるようにと、後発医薬品の使用を勧めてきました。患者さんにも色々考え方があるようで、10円でも安ければ後発医薬品を選ばれる方もおられます。一方で、お薬代が安くならなくても今までと同じ薬がいいと考えられる方もおられます。その中で感じた事をここで述べたいと思います。
一般の方には先発医薬品も後発医薬品も同じ成分で同じ効き目なのにと思われますが、メーカーによって製造工程も違いますし、添加物なども異なります。その後発医薬品が体に合わない場合もあります。後発医薬品は先発医薬品とは良く似ているようですが、それぞれ特徴もあります。
例えば、ある患者さんの薬を後発医薬品に変更したら、錠剤の大きさが小さくなりました。すると、その方は薬が小さすぎて、飲んだ気がしないと訴えられ、以前服薬していた先発医薬品に戻すことにしました。錠剤のサイズという人によっては小さな変化が、服用する患者さんにとっては大きな問題となる場合もあるのです。
またこんなこともありました。患者さんが後発医薬品の使用を望まれて、後発医薬品を服用していました。その薬は高血圧の治療薬でしたが、残念な事にその方は急に体調がすぐれなくなり、入院されてしまいました。
後発医薬品へのスイッチではこうした問題も起こりますが、良い点ももちろんあります。例えば、痛風の治療薬を服用されている方は薬局での負担が3分の1になられる方もいらっしゃいます。また、糖尿病の治療薬の後発医薬品を服用されて、先発医薬品を服用していた頃より検査データが改善されたという方もおられました。また最近では後発医薬品であっても、先発医薬品と全く同じ添加物を使用している物が発売されました。
後発医薬品を調剤することで、以前よりも患者さんとコミュニケーションをとることの必要性を痛感しています。
2008.09.04辻内秀美 (1987年 生物薬学科卒)
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