薬局実習でみた医療従事者の活動
私は、薬学部薬学科の5年生です。
11週間の薬局実習を経て、今は病院実習中です。
お世話になった薬局は、総合病院前の門前薬局で、病院の科に合わせて幅広い種類の薬を置いていました。
その数2400種類以上です。
薬局の内側はとても忙しく、1日が終わるだけで足が棒になるほど動き回っていました。
薬局実習が終わる頃には大分慣れましたが最初の1週間は筋肉痛との戦いでした(笑)
最後の週は、患者さんと服薬指導でお話しすることもできましたが、患者さんから情報を引き出す話術がなくて、一方的に説明するのみになってしまったのをとても後悔しています。
実習では、高齢者向けサポート付き住宅や漢方薬局など、医療に関係する他の施設を見学することもできました。
高齢者向けサポート付き住宅は、認知症の方や車椅子を使用している方など、つきっきり介護されているイメージがありました。
しかし、見学したサポート付き住宅では、認知症の方が多かったですが、全員が背もたれがあるだけの椅子に座り、自分で食事していました。
そこでは、自分で立ち上がり動作を積極的に行えるよう、様々な取り組みをされていました。
一人一人の足底から膝までの長さ1センチ単位で合わせた、特注の椅子に座ってもらうといったこだわりや、車椅子を移動手段としてのみ使うことでトイレやご飯の度に自分で立ち上がる、椅子の手すりをなくして座り直す動作をさせる、これを1日の中で何十回とすることが筋力アップのリハビリになるなど工夫が凝らされていました。
また、オムツは介護されている人の象徴のようになってしまっていますが、これをゼロにして施設利用者の介護に頼りきりにならないという気持ちを高めるという仕組みも取り入れていました。
これもトイレに何度も行くことによる筋力トレーニングに繋がるようです。
しかし、この取り組みは施設の方の献身的な努力によって実現しているものでした。
ある利用者の方で、夜間の漏れで困っていることがあったそうです。
施設に通っている薬剤師の方は、「薬を飲んで尿量が増えているのでは?」と処方医に施設の取り組みを説明し、朝夕食後の薬を朝だけにしてもらい解決しました。
薬剤師さんが施設の取り組みの苦労を知っていたことと、薬の作用と患者さんの身に起こった症状を把握していたので、医師に情報提供でき、結果、患者さんと施設の両方の生活の質(QOL)を向上させることに貢献できました。
薬局実習では、薬剤師が施設利用者や職員、在宅患者さんやその家族など地域の事情を理解していることと、いかに医師の意図を汲み、信頼できる情報源から処方提案ができるかというところで腕が試されるものなんだと感じました。
私も、こんな風に気を配れる薬剤師になりたいなと目標ができました。
これからの実務実習や薬剤師国家試験の勉強で学んだことを将来、薬剤師になったときに活かせるように反省や感じたことを胸に留めて置こうと思っています。
新薬5年 M. F.